5 信託

① 信託の効力発生時の課税

Q1 信託の効力発生時には,誰に課税されるのですか。

A1 信託の設定により信託財産の所有権(名義)は受託者に移ります。一方,信託財産から生じる利益は,受益者が受け取ります。税務上は,その実質を重視して,原則として,受益者が所有者とみなされます。

 

Q2 委任者と受益者が同じ信託(自益信託)の場合には,どうなりますか。

A2 自益信託の場合,税務上,信託の前後で実質的な所有者の変更がないことから,信託の効力発生時に流通税以外の課税関係は生じません。

 

Q3 委任者と受益者が異なる信託(他益信託)の場合には,どうなりますか。

A3 他益信託の場合,税務上,信託の前後で実質的な所有者が委任者から受益者に変わることから,信託の効力発生時に次の課税関係が生じます。

 ⑴ 適正対価の授受がある場合,税務上,委託者から受益者に対して,信託財産の譲渡があったものとみなされます。

 ⑵ 適正対価の授受がない場合,税務上,委託者から受益者に対して,信託財産の贈与(遺言により受益者となったのであれば遺贈)・低額譲渡があったものとみなされます。

② 信託期間中の課税

Q1 受益者が個人の場合,信託期間中の課税はどうなりますか。

A1 税務上,その実質で判断し,信託財産に属する資産・負債は受益者が有しているものとみなし,信託財産に係る収益・費用は受益者に帰属するものとみなします。したがって,賃貸不動産を信託している場合には,そこから発生する不動産所得は,受益者の所得となり,受益者において確定申告が必要となります。

 

Q2 受益者の変更があった場合,どうなりますか。

A2 税務上は,受益者が信託財産に係る所有者であるとみなしますので,変更前の受益者から変更後の受益者に,信託財産の所有者が変わったものとみなして,課税関係が生じます。

 ⑴ 適正対価の授受がある場合,信託財産の譲渡があったものとみなされます。

 ⑵ 適正対価の授受がない場合,信託財産の贈与(直前の受益者の死亡に起因する変更の場合は遺贈),定額譲渡があったものとみなされます。

③ 受益者の死亡・信託の終了

Q1 信託終了事由として「受益者の死亡した場合」が定められており,受益者が死亡して信託が終した場合,どうなりますか。

A1 残余財産の帰属者権利者が,直前の受益者からの「遺贈」により残余財産を取得したものとみなされます。

 

Q2 受益者が死亡した場合の次の受益者に関する定めがある場合,どうなりますか。

A2 次の受益者が,直前の受益者からの「遺贈」により信託財産を取得したものとみなされます。